20Mar

昨日の関東地方は、久しぶりの強い風と雷、雨あられの大荒れの天気。そのような中、私も外出時に久しぶりに足を取られ、何十年ぶりかに派手に転んでしまいました。しかし、その瞬間、思い出したのは中学時代の柔道の授業。無意識のうちに見事な受け身を取り、肘の擦り傷だけで済んだのは、まさにあの頃の経験のおかげかも。人生、どこでどんな経験が役に立つかわからないものだなあと、痛みをポジティブに変換してしまうマインドが自分でも滑稽に思えて一人にやけてしまいました。皆様は、無事に通勤できましたか?
さて、今日は春分の日。
季節が変わるこの日に、新たな一歩を踏み出す人も多いのではないでしょうか。そんな春の日にぴったりの物語をお届けします。
夜勤明けの朝、病院のロビーで缶コーヒーを開けながら、佳奈はふとため息をついた。看護師としての仕事はやりがいがある。けれど、忙しい日々の中で、一人部屋で食事をとるとき、ふと感じる寂しさは年々増していた。友人の美咲が結婚を機に退職したと聞いたときも、「おめでとう」と言いながらも、どこか心の中では素直に喜べていない複雑な気持ちになった。「この胸のざわつきはなんなだろう・・・」
「実はね、私が旦那と初めて出会ったの、結婚相談所なの」
久しぶりに会った美咲が、カフェでそっと打ち明けた。
「えっ?」
一瞬、耳を疑った。美咲は学生時代からモテるタイプだったし、彼氏に不自由したことなんてなかったはず。
「私も最初は偏見あったよ。でもね、試しに行ってみたら、全然イメージと違ったの。今って、20代や30代の普通の人が真剣に結婚を考えて登録してるのよ」
その言葉が、佳奈の胸の奥にじんわりと響いた。
マッチングアプリは何度か試したことがある。でも、写真と実物が違いすぎる人、業者まがいの勧誘、真剣さを感じられない相手……。何度かやりとりをするたびに疲弊し、結局「もういいや」とスマホを閉じることの繰り返しだった。
「結婚相談所か……」
そんなことを考えていたとき、スマホのカレンダーが目に入った。
3月20日。春分の日。
季節が変わるこの日に、自分も何か変わってみてもいいのかもしれない。美咲が勧めてくれた結婚相談所の個別相談会へ、思い切って申し込んでみることにした。
日曜日の午後、マンションの一室にある相談所のドアを開けると、穏やかな表情の男性が迎えてくれた。
「はじめまして。SunRiseコミュニケーション代表の松田です。お越しいただきありがとうございます」
松田氏は50代の温厚そうな男性で、話し方に押しつけがましさがなく、どこか安心感があった。
「結婚相談所って、なんとなく敷居が高いイメージがありまして・・・」
佳奈が正直にそう伝えると、松田氏はゆっくりと頷いた。
「そうですね。以前は、いわゆる『結婚できない人が最後に頼る場所』という印象が強かったかもしれません。でも今は違いますよ。特にここ数年で20代や30代の会員がぐんと増えました。結婚を前向きに考える普通の方が、効率よく良いご縁を探せる場所になっていると私は認識しています。」
実際に見せてもらった会員のデータには、普通に会社勤めをしている男性や、公務員、医師、エンジニアといった安定した職業の人たちが多く登録していた。しかも、関東地域、こと佳奈の地元千葉県内も多くの会員が毎日新規で登録していることを知り、心の動揺を抑えようとしている佳奈自身が、目の前の松田氏に不自然に映っているのではないかと少し気になった。
「マッチングアプリで嫌な思いをしたという話はよく聞きます。でも、ここでは身元がきちんと保証された方だけが活動していますし、私たちが間に入るので、トラブルになることはほとんどありません」
確かに、マッチングアプリとは違い、安心感があった。自分の希望する条件や価値観をもとに相手を探せるというシステムにも納得感があった。
「結婚相談所って、もっと堅苦しいものだと思ってました」
佳奈の率直な言葉に、松田氏は微笑んだ。
「マッチングアプリから始められた方には、結婚相談所のルールが少し堅苦しく感じることもあるかも知れませんが、今はむしろ、未来のパートナーと効率よく出会うための安心安全なツールと考える方が多いですよ。実際に登録されてみて、疲れたら休会もできますし、合わなければ活動をやめることもできますしね」
その言葉に、佳奈の心の中の迷いが少しずつ晴れていった。
登録を決めた後、最初のお見合いが決まるまで、思ったよりも時間はかからなかった。というよりも、登録して翌日には数名の方からお見合い申し込みが入っていた。
初めてのお見合いの日、待ち合わせのホテルのラウンジに向かう途中の緊張感がどこか懐かしい。そして、初めてのお見合い相手の男性は誠実そうで話しやすく、あっという間に時間が過ぎていった。
「またお会いしませんか?」
そう言われたとき、佳奈の胸に温かい気持ちが広がった。
そこから、次々とお見合いが決まり、時には「こんな価値観の人もいるんだ?」と驚くこともあれば、「もっといろいろ話したかった」と60分というお見合い時間が短く感じた方など、いろんな人と出会う中で、自分自身の価値観や大切にしたいことが少しずつ明確になっていった。
春分の日に決意したことが、このように自分の人生を変えていくなんて、あの日の佳奈は想像もしなかった。
もしかすると、この春は、新しい人生の始まりになるかもしれない。
佳奈は、少しだけ期待を込めて、次の待ち合わせ場所へと向かった。
(リクエストがあれば続くかも知れない^^)
この記事は入会からお見合いまでのイメージを小説風に描いた記事です。登場人物、ストーリーはフイクションです。
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